TFA2nd.2020  Step04「安心・安全に暮らす」の開催報告
「とくしまフューチャーアカデミー2nd」
第4回目の講座が、11月22日(日)13:00~、オンラインで開催されました。
テーマは「安心・安全に暮らす」
講師は、北仲千里さんです。
(NPO法人 全国女性シェルターネット、NPO性暴力被害者サポートひろしま、広島大学 ハラスメント相談室 )
今回は、「DV(ドメスティックバイオレンス)」と「性暴力・性犯罪、セクシュアル・ハラスメント」について、専門的な内容を、具体例を交えながら大変分かりやすくお話いただきました。
「「女性に対する暴力」を本気で解決していないと、女性が元気に活躍できる社会は実現しません。」
北仲先生より、世界や日本のさまざまなデータや具体的な事例の話を伺いました。
聞くに堪えない事例もありました。
しかし、眉をひそめているだけでは、なにも改善しません。
社会を変えるためにあなたにできること として、
先生があげられていたことを紹介いたします。
① 見えない被害の声に耳を澄ませる、想像力をもつ
② 二次加害者にならない
③ 無責任な「傍観者」をやめる
もし、身近な人が被害に遭ってしまったら、
また、もし自分が当事者となってしまったら、
実際には思考停止して身動きがとれなくなってしまうかもしれません。
決して、あってはならないことですが、未然防止のために、やはり、今、学ぶことが大切だと実感しました。
そして、さらに私たちは、
DV、セクハラはいけないことである、という問題のもう一つ上、
「苦しんでいる人を救うには、どう社会の仕組みを変えていかなければならないか」を考える次元に来ていると感じています。
一緒に学び、できることから行動に移していきましょう。
※以下、今回の講座の内容をざっくりまとめています。
とくに関心を持たれたところは、ぜひご自身で学びを深めてくださいませ。
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前半:「DV(ドメスティックバイオレンス)」について
・DVとは、夫婦や恋人、好意を寄せた相手など、親密な関係にある人(あった人)から、脅迫、侮辱、避難、抑圧、殴る、など様々な方法で自由を奪われ、人間としての尊厳を否定され、支配されること
・DVは(女性が被害者の場合が多いけれど)男性の問題でもあり、性別関係なくとらえる
・DVの特徴としては以下のようなものがある
① 心理的なものや価値観、また生活や子どものことなどと関係することにより、特有の逃れがたさがある
② 加害者の特有さ……独占欲や支配欲、どこまでも追いかけようとする気持ちがある
③ 世間の反応(容認・介入へのためらい、誤解)……DVを許す土壌は、一般市民のなかにある
・DV事例対応について
児童虐待の場合とは異なり、被害者本人の決断(自分がどうしたいか)を尊重しながら進めていく→被害を受けている方は、自分がどうしたいかを考える力が弱まっていることがあるので、エンパワメント(自分で決定していく力を取り戻していくという支援)していくことが大切で、これが一番大変で大きなヤマである
・支配から逃れる初期的支援(シェルター、住所や電話番号を変える)を経て、中長期的支援(安心して眠ることができ、今後のことが考えられるように)が必要である。
●グループワーク①
テーマ:「妻が病床についているときでも、夫は家事はせず妻に家事をさせること」について。
私のグループでは、夫に対する妻側からの批判のみならず、
「育ってきた環境が考え方に影響している」「日頃から、夫婦間のコミュニケーションを大切にして、(アサーション術も使いながら)、やって欲しいことは具体的に伝えないといけない」「子どもや関わる人に先入観を植え付ける言動に自ら気をつけないといけない」など、さまざまな課題が浮き彫りになりました。
後半:「性暴力・性犯罪、セクシュアル・ハラスメント」について
・法整備があまり進んでいないため、さまざまなケースに対応できないこと問題となっている
・「ほとんどの人が警察に訴えない」(暗数が多い)という特徴があるということ、そしてその背景としては、「知っている人」から被害を受けることが実際は多いという事実がある
・性暴力被害について、是非知っていただきたいこと
① 性暴力被害の影響は、とても深刻である(PTSDなど)
② 大切な存在の大人から被害を受けた場合の混乱、信頼の破壊は、非常にむごいものであること
③ 被害者には、医療、心理カウンセリング、安全な環境の確保、加害者に責任をとらせること、などいろいろな面から包括的支援が必要子どもや若年の被害者は、支援につながる力が弱い
(→ 専門的なワンストップでの支援が必要)
●グループワーク②
テーマ:職場で上司からセクハラを受けた
私のグループでは
「加害者や会社側に改善策を求めるのがよいに決まっているけれど、デリケートに扱わなければ、会社で働き続けるのが難しくなる。」
「声をあげることすら我慢してしまう人もいるのでは」
「被害に遭った方が人生を狂わせられてしまうことになりかねない。」
→上司の対応が鍵である。被害が非常に深刻な問題であるということを、会社や社会全体でしっかり認識していなければならない。
・残念ながら、現在の日本では、家庭内の暴力(児童虐待、DV、高齢者虐待、子どもから大人へ、また大人の家庭内の虐待)の法律、担当機関がばらばらで、対応の水準も異なっているとのこと。そのため、迅速な対応や本当に必要な支援が届きにくい現状がある
・ニューヨーク市にある、「ファミリー・ジャスティス・センター」のような、ワンストップ窓口で複合的に支援を行うことができる施設・制度が必要である
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次回、TFA2nd.第5回は、12月12日(日)
講師に子安美和さんをお迎えし
「労働と経済」をテーマにご講演いただきます。
こちらでも随時情報発信いたします。
お見逃しなく!

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