TFA2nd.2020  Step06「社会と政治」の開催報告

 

TFA第6講は、「社会と政治」がテーマです。
三浦まり先生を講師に迎え、「女性リーダーがつくる新しい政治」について学びました。
講義内容に触れる前に、昨年TFAの新年会にゲストでいらした県議会議員の高井美穂さんのお話を紹介させてください。
高井さんは「政治は誰にでもできます。政治は、生活そのもの。(入った税金の)再分配が仕事です」
そして「どんな仕事もそうだと思うけれど、大変なことがたくさんある中で「届いた!」と思う瞬間がある。その時にやっていてよかったと思う」と仰っていました。
そのお話を聞いたとき、「誰にでもは(自分も含めて)無理…」と思いましたが、一方で、家計を預かり赤字にせずまわすことができている人なら、資質はあるんだなと思いました。そしてその役は多くの家庭で女性が担っているのでは?と。
講義ではまず、受講生からの質問に答える形で、日本の特徴として、女性が様々な問題に気づくのが遅いということがある。これは内藤市長のように、早く政治参加をスタートすることで有利になるし、少しずつ変わってきているということ、そして四国選出の国会議員がいない中、女性市長が生まれたことはロールモデルとしての効果が大きいことをお話しくださいました。
(三浦先生と内藤市長の対談動画も、とても見ごたえがありました!)
以下、箇条書きでまとめます。

◆世界の女性リーダー
ちょうど今、世界の女性リーダーがコロナ禍で注目を集めているが、それは今までと「異なる視点」「異なる経緯」「異なる期待」が必要とされているから。これまで危機対応は男性のほうが得意とされてきたが、それは危機が外交問題であったため。コロナ禍は生命危機(健康危機)であり、そこでは行動変容を促すコミュニケーション能力や、痛みに寄り添う力が必要とされる。そして、男性でもうまくいっている例(ニューヨーク州クオモ知事)もあれば、女性でもうまくいかない例(ベルギー)もあり、性差より個人差である側面が大きい。またコロナ禍では、既存の格差や差別・貧困が悪化しており、その影響は性差によるところが大きい。そのためジェンダー視点が必要。
◆政治家の仕事
これは大きく次の3つ、「聴く」「制度におとしこむ」「調整」に分かれるとのこと。
(三浦先生がこれまで政治家に「どんな能力が必要か」と訊ねて、全員が必要と答えた能力が「聴く」力だそうです)
市民のモヤモヤ・不安・不満・声にならないつぶやきもキャッチし(聴く)、
これを法律改正や立法、そして制度運用したり改善したりして(制度におとしこむ)、
説得したり、妥協したりして、合意を得る(調整)。
この3つができる人を多く議会に送り込む必要がある。そして身近な問題を「聴いて」もらうためには、政治家にも多様性が必要。
◆ジェンダーステレオタイプ
女性:優しい・温かい…    =女性としての美徳
男性:野心的・競争的・分析的…=リーダーらしさ
こういった性別によるとされるステレオタイプは思い込みであり、本来は両立できるもの。
けれども、女性であるが故にリーダーや政治家になろうとすると、資質があるかを厳しく問われ、資質があるとなれば今度は「男勝り」とネガティブな評価が下る。「能力があること」と「女性性」が矛盾しているという(本来は矛盾しない事柄についての)二重の拘束(二重の呪い)とも言えるものが存在している。
今回はグループワークとして
①個人的なことは政治的なこと、政治的なことは個人的なこと、という視点で感じる問題について
②徳島をよくするために何が必要か
の2つについて各グループで話し合い、発表してもらいました。
①については、家事分担で夫婦喧嘩するなども、個人の問題でなく政治が関わっている、またコロナで一斉休校が実施されれば、子供の預け先はどうするかなど、個人的な問題が発生する、という例も紹介され、皆さんからも実体験に伴った意見が出されました。

◆女性リーダーを増やそう
これについては既に周知のとおりで、日本では女性の政治参画が遅れている。
(女性比率:衆議院9.9%、参議院22.9%、知事4.3%(2名)、政令指定都市長10.0%(2名)、市区町村長1.9%(32名))
1980年頃までは諸外国と差がなかったものが、90年辺りから徐々に差がつき、差が開いている。理由として、手段としてのクオータ(あえて女性を増やす、まず女性を増やして環境を整備する)や、理念としてのパリテ(意思決定は男女半々で行う)などが他国で効果を生んでいるため。
そして日本でも2018年に「政治分野での男女共同参画の推進に関する法律」が施行され、候補者の数など少しずつ変化している。これはパリテの理念で、クオータ制を行うもので、強制力のない法律ではあるが、強制力の有無よりも、有権者の持続的な関心が大事。現実と規範にギャップがあり、すぐに変わらないとしても、持続的に関心を持ち、声を上げる人が増えれば「やはり女性を増やさなきゃ」となる。
このあと、受講生の皆さんには1分間のスピーチを行ってもらいました。
効果的なメッセージとして「自分らしさ」「分かりやすさ」「相応しさ」が大事だというアドバイスがあり
実際に議員の方などの1分間スピーチを視聴してからの発表となりました。
目線・声などの要素、アピールポイント・訴えたいこと・自分が誰なのかを伝える大事さ、意外性を取り入れる、時間通りに収めることなど、他の方のスピーチを聞いて学ぶところも大きかったと思います。それぞれ講評を頂き、
・1分は短いけれどいろいろなことが言える。尺(長さ)は何度もやるうち体で覚えることができる。
・イメージの喚起力が大事。具体的に状況・情景がわかるエピソードをいれるとよい。
・自分とのかかわり、自己紹介も大事。
とのコメントも頂きました。「伝わっているなと思えば嬉しく、思いが深まる。伝わるのはうれしいことで、それにより受講生の皆さんもエンパワーされたのでは?」とのコメントがありました。受講生の皆さん、いかがだったでしょうか?
最後に三浦先生からうれしい総評を頂きました。
「これまでのTFAの蓄積が受講生・スタッフにあり、みんなでパワーアップしていると感じました。
政治にはどれだけ多くの人を巻き込んでいくかが大事であり、そのためにもことばの力が大切です。
スピーチはひとつのきっかけで、そこからより多くの人に伝わっていく力を持ってほしい」
私は諸事情で第5講までオンライン参加できておらず、今回初めて参加しましたが、皆さんが本当に自然に積極的に発言している様子を見て、圧倒されましたし、進化している!と感じました。この様子だと、若い女性がどんどん選挙に出てきて、誰に投票するか迷ってしまう、なんてことも夢ではないなと。
そして、政治について感じたこととして、強制力のない法律には意味がない(努力目標ではだめ)と考えていましたが、ほんとうは有権者が「いつも見ている」ということがいちばんの強制力なのかもしれない、日本の政治に欠けているのは、有権者が「見ている」そしてそれを「声に出す」ことかもしれない、ということでした。
次回2/14(日)はいよいよ、最終講プレゼンテーションとなります。
「私の未来と地域の未来」というテーマで皆さんがどんな発表をするのか、とても楽しみです。

 

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