本日TFA第3講が開催
前半は、労働と経済~女性×はたらくを考えるをテーマに、小安美和さんがご講義くださいました。
小安さんは情報・メディアの世界で働く中で、労働人口が減る(2030年までに900万人の生産年齢人口が減少)にも関わらず、働きたいのに働けない女性が多くいる(なんと315万人)という事実を知り、これを解消することが必要と感じ、起業されたという方です。
講義ではまず事前課題「働く上でのモヤモヤを10個考える」をグループに分かれて話し合い、発表しました。
モヤモヤは、字のごとくもやもやしているのでなかなか人に話すことがない、言語化されないことが多いのですが、それ自体が問題で、これを言葉にすることで社会課題となっていく、と話してくださいました。
このモヤモヤは日本全国でほぼ共通しており、地域ごとに異なることがない、つまりは日本全体が抱えている課題だということで、グループからの発表からでもそれが見て取れました。
また隣国である韓国と日本を比較し、共通点と相違点についての分析をお聞きしました。
どちらも家父長制や性別役割分担の意識が強く、長時間労働が根強いという共通点がありますが、ジェンダーギャップ指数では日本120位に対し、韓国は102位となっています。
理由として特に政治分野で日本は女性進出が遅れていること、また女性活躍より少子化対策を優先した国の政策が影響していることなどを学びました。
ジェンダーギャップには5つの壁(①女性自身②職場③ケアサービス④家庭⑤社会規範)がありますが、中長期的に④家庭で家事や育児をシェアしていくこと、⑤社会規範である性別役割分担意識を学校での教育などで変えていくことが必要とのことでした。
個人的には、最後にお話しくださった「学び直しが大事」という点が心に残りました。人生100年時代を生きる上で、労働マーケットを俯瞰で見る、中長期でキャリアを考える、キャリアの軸を
持つという3点が大事で、そこに学び直しを取り入れていくことで、一度キャリアステージから降りることがあってもまた働き続けることができる、とのこと。自分のキャリアを人任せ、会社任せにせず、自分で考えていくことが大事なのだと感じました。
後半はリプロダクティブヘルス・DV(安心・安全に暮らす)がテーマ、講師は北仲千里さんです。
性暴力は「望まない、合意していない性的行為」を指し、一般的な性交以外にも広い行為をふくむこと、知らない人からより、むしろ知っている人、配偶者や家族などが加害者であることが多いことを学びました。
性暴力の問題のポイントとして、わずか5%の人しか訴えないこと、そして訴えることで二次被害に遭うことが多いこと、また被害者の落ち度とされることが多い点が挙げられました。しかし性暴力は女性(被害者)の問題でなくむしろ加害者(男性)の問題であることや、最近では女性以外が被害者となる例も多くあることをお聞きしました。
事前課題は、職場でセクシャルハラスメントに遭った場合、どう対応するか、というものでしたが、現在では組織(会社や学校)がハラスメントの防止・解決の責任を負うこと、担当者・担当部署に相談すること、弁護士や警察だけでなく各都道府県にある性暴力ワンストップセンターでも、セクシャルハラスメントの相談ができることなどを教えていただきました。
もし実際にハラスメントの被害に遭ったら「記録を残す、誰かに話をきいてもらう、要望は口頭ではなく書いて出す、我慢せずに逃げる・立ち去る・休む」などの具体的な行動が大事だそうです。
日本でも2017年に刑法が改正され、以前より性暴力に対し厳しい扱いがされるようになりましたが、いまだ暴行脅迫要件がないと立件できない場合があり、他の先進国にはこの要件がないことを考えるとまだまだ日本には変えていかなければいけないことが多くあるということを実感しました。
次回第4講は1/9(日)です、乞うご期待!